狭山パンフレット 545号・546号
「狭山闘争60年」 の主張より一部抜粋しました
主張
狭山闘争60年の原点を確認し正念場の闘いに全力でとりくもう!
石川さんの無実を広げ、署名運動をさらにすすめよう!
  狭山事件が発生し、石川一雄さんが冤罪におとしいれられて60年が過ぎた。石川さんはいまも無実を叫びつづけ、生きて冤罪を晴らすと訴えている。第3次再審の闘いに勝利し、石川さんの「みえない手錠」をはずすまで、わたしたち一人ひとりが原点にかえって支援の取り組みを全力ですすめたい。
 闘いの原点は、警察にだまされていたことに気づいた石川さんの無実の叫びだ。悔しさの中で必死に文字を取り戻し、無実を訴える手紙を何通も出すようになり、届いた手紙も読めるようになっていく。本も読めるようになり、多くのことが学べたと石川さんは言う。何より心が豊かになったと。
 獄中の石川さんの闘いと両親や家族の訴え。それを受け止め、部落差別によって冤罪がおきたことをわがこととしてとらえ、冤罪を作り出す社会、司法を変えていく、差別をなくす闘いとして取り組まれていったことが、わたしたちの闘いの原点だ。現地調査をおこない、無実の証拠を学習し、石川さんの無実と冤罪の真相を確認し、全国行進で部落の大衆に訴え、さらに労働組合、学者、文化人、市民に真相を広げていく取り組みが60年すすめられてきた。それは今も変わらない。新裁判長のもとで、事実調べ・再審開始実現にむけて正念場を迎えているいまこそ、この闘の原点を忘れることなく、取り組みを進めたい。~

 先日のNHKの朝のニュース番組では、再審制度と狭山事件がとりあげられ、石川さんのインタビューも紹介しながら、再審請求の審理が長引く原因の一つとして、再審における証拠開示のルールがないことが指摘された。翌日のニュースでは、再審法の改正を国会で進めるための議員連盟が結成されたことが紹介された。さらに現職警察官が「捏造だ」と証言した大川原化工機冤罪事件もとりあげられた。袴田事件の再審開始決定で東京高裁が捜査機関による証拠ねつ造の可能性を指摘したことや審理の長期化の問題が連日のように報道されている。いまこそ60年以上も冤罪を訴える石川一雄さん、えん罪・狭山事件をアピールしよう!パネル展や街頭宣伝に取り組み、事実調べを求める世論を広げ、署名運動をすすめ、東京高裁の家令和典裁判長に届けよう!
 再審請求における検察官の証拠開示の義務化、再審開始決定に対する検察官の抗告の禁止。裁判所による事実調べなどの規定をもりこんだ再審法改正(
刑事訴訟法等の改正)の実現にむけて、国会請願署名もあわせてとりくもう。
 


 1974年9月26日、石川一雄の2審の最終意見陳述から。

「裁判が長期間に及んだのは一言でいえば警察が隠し持った証拠を出ししぶったのが原因」と50年前から喝破しています。
また、「裁判においては真実をありのままに提出して判断を仰ぐべきであるのに、警察官は被告人の有利になる証拠をひたかくしにし、できるだけ悪い状況をつくりあげようと懸命にしてきました。公的な国民の血税によってつくられている国の機関でありますから、実に由々しき問題であると思います。
 すべて公平にありのまま調べると同時に、被告人の利益、不利益にかかわらず、すべての証拠を開示してほしい。また、そうあるのが,ほんとうの警察の意味であろうと思います。この根本精神を一人として頭に入れている警察官がいないからこそ、このように長期になってしまったのであります。」

1974年に石川一雄が最終意見陳述で述べたこの叫びが、50年後の今も同じ状態なのです。