10・31メッセージ
第3次再審闘争においては、証拠開示がすすみ、多くの科学的な新証拠が提出されていることから、必ず鑑定人尋問、証人調べが実現すると期待をしておりますが、検察官は反論を出すということであり、来年も支援者の皆さんにご尽力を賜る結果になってしまうことが濃厚となっています。皆さんには大変申し訳なく思うと同時に、私自身も決意をあらたにしております。
皆さんもご承知の通り、私の無実を示す新証拠として下山鑑定、福江鑑定等に加え、2018年7月10日に元科捜研の技官だった平岡鑑定を新証拠として提出し、第3次再審裁判で出された新証拠は217点になりました。1963年5月1日に事件が発生し、5月11日、死体発見現場から125m離れた麦畑からスコップが発見されていますが、この場所はそれまで何度も捜索された場所でした。このスコップを確認もせずI養豚場のものと断定し、寺尾判決では、発見スコップ付着の土と死体発見現場付近の土が類似するとの星野鑑定(埼玉県警鑑識課)結果から、死体を埋める為にこのスコップを使ったとされ、自白を離れて、客観的に存在する有罪証拠の一つとされました。しかし平岡鑑定は、スコップ付着の土は死体発見現場付近の土と同じとはいえないと指摘し、星野鑑定の誤りを明らかにしました。また、スコップ付着の油脂からI養豚場のものと特定できないとも指摘しています。これまでの有罪判決の根拠が崩れたのです。当初、このスコップを即、I養豚場のものと確認もせず結論づけたのは、I養豚場の経営者が被差別部落出身者であり、そこで一時期働いていた私を犯人にするために違いありません。
さらに、8月には、私方から発見され有罪の決め手とされた万年筆が偽物であることを決定づける下山第2鑑定が提出されました。蛍光X線分析という科学的な方法で、被害者が事件当日のペン習字で使っていたインクに含まれる元素(クロム)が発見万年筆のインクには含まれておらず、発見万年筆は被害者のものでないことが科学的、客観的に明らかになりました。もともと万年筆は発見経過が極めて不自然で、私を犯人にでっちあげるために、偽物を警察が私方の勝手場入り口の鴨居に置いて兄に取らせたことが明らかです。
このように第3次再審裁判に於いては、沢山の無実を示す証拠が提出されています。しかし私は、完全無罪を勝ち取るまで決して気を緩めることなく、不撓不屈の精神力と、何時、如何なる時も萎えることない闘争心で、全国の皆さんに私の無実とえん罪の苦しみを叫び、訴え続け、支援のお願いに奔走する不退転の決意です。
私が前向きに闘いを続けられるのは、皆様方の応援に大きな力をいただいているからです。この狭山事件の闘いは、弁護団や私自身の頑張りはもとより、全国的な大衆の声がなければ司法の重い腰を上げさせることはできません。第3次再審裁判を勝利するには、皆さんのご支援が不可欠です。「無罪」を勝ち取るその日まで、変わらずご協力下さいますよう心からお願い申し上げます。
常日頃の皆さん方のご支援に衷心より感謝申し上げると共に、私の決意の程をお伝えし、ご挨拶に代えさせていただきます。
寺尾不当判決44カ年糾弾
第3次再審闘争勝利総決起集会参加ご一同様
石川 一雄