新年メッセージ

昨年も、支援、要請のお願いに目一杯活動してきましたが、私の願いも空しく、再審開始の前提である証人調べに入る目処が明らかにならないまま新年を迎えてしまい残念無念でなりません。
 結局検察側の言う通り次回の三者協議までインクを探すということになってしまった訳でしたが、裁判官は検察の引き延ばし理由において、道理に反していると思いつつも、検察官の主張を認めたのではないか、と思われます。
 弁護団に反証の目処を追及され、検察官は当時のジェットブルーインクを入手するまで待ってほしいと言っているそうですが、国家権力の力からみれば、事件当時、被害者が使っていたインクが見つけられない筈がありません。そもそも、下山第2鑑定の結論を検証するために、被害者が使っていたインクを探す必要はないと思います。恐らく下山第2鑑定に対して、すでにあらゆる角度から実験、鑑定を試みたと思われます。しかし、自分たちの思い描く結果が得られず、さりとて、このまま、下山鑑定を認めるわけにはいかないので、時間稼ぎをしながら、いかに難癖をつけられるか検討しているのではないかと、私自身は推測しています。下山第1鑑定の時も、鑑定人の名前を公表しなかった、できなかったように、今回もそのようなこともあるかもしれません。
 元より、弁護団は、反証があれば、徹底的に再反証するでしょうが、有罪証拠の根拠となった「発見万年筆」は、下山博士の、蛍光X線分析検査で、科学的、客観的に「偽物」である事を明らかにしたのです。弁護団も、下山鑑定を覆すことはできないとの確証の上に立って、裁判所に、正々堂々と鑑定人の尋問を強く求め、また、裁判所に職権で鑑定を求めていくのではないかと思われます。
 支援者皆さんもご承知の様に、被害者が事件当日に書いたペン習字の浄書のインクからは、クロム元素が含まれていたのに対し、私の家から発見されたという万年筆で書いた数字のインクからはクロム元素が含まれていなかったことを下山鑑定人が明確に指摘したのです。この鑑定は、弁護団が証拠開示を求め、201610月に、当時、発見万年筆で書いた「数字」を含む調書が証拠開示されたことから実現しました。実に53年も検察に隠されていた証拠なのです。前記のような検察官の再審妨害活動を制限し、再審における証拠開示を義務化する法改正が必要だと痛感します。
 弁護団の方針は飽く迄も事実調べ、再審開始を実現させることが前提であり、私自身も裁判官が誰に代わろうとも焦らず、今後も無実の証拠を突き付けて闘って参る所存であります。
 皆さんにも大変ご心配、ご迷惑をおかけして申し訳なく思いますが、どうか昨年同様にご協力下さいますよう心からお願い申し上げます。
 尚、全国の支援者皆様から私の体調面に対し、大変ご心配をおかけしておりますが、目、耳が若干悪いこと以外は盤石であり、この第3次再審で再審実現を目指し、全力で闘って参る所存です。

   権力の犯罪暴いた万年筆 許せぬ怒りは法廷の場で

2020年1月1日

狭山支援者ご一同様

                               石川 一雄