近況   2021年5月8日

 事件発生から58年目の5月の闘いも、昨年からのコロナ禍で今も大きく制約されている。
5月に入り石川は58年前の様々なことを思い出し、寝付かれない日々のようだ。このようなことは珍しい。ふだん21時頃にはもうベッドに入っている石川が、このところ、夜中まで起きている。昨日も朝方まで書き物をしていたようで、58年前の5月1日前後の自分の行動を振り返って書いていたようだ。「58年前の事まだ覚えてる?」と聞くと「忘れない」と答えた。

今は、毎日、コロナとオリンピックのニュースばかりだが、この2~3日「赤木ファイル」が大きく取り上げられている。
森友問題で、公文書改ざんを強要された財務省近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんが改ざんに加担させられたことに苦しみ、自死された。赤木さんが、改ざんのいきさつを詳細に記録した文書を残していた。「赤木ファイル」だ。真実を知るために、ファイルを出してほしいと裁判で提出を求めてきた妻に、「有るとも無いとも言えない」「捜索中」「争点とは関係ない」と公開要求に応じてこなかった財務省。5日の新聞には、国が「赤木ファイルの存在を認める」「開示する」との報道がされた。裁判所に開示を促され、しぶしぶ出すことになったのだ。
狭山の闘いでも弁護団が証拠開示請求をしても検察は「裁判の争点に関係がない」「見当たらない」との回答が続き、隠して出さなかった。公費(税金)で、公権力を使って集めた証拠であるにもかかわらずだ。2009年、東京高裁・門野裁判長による証拠開示勧告が出され、実に37年ぶりに証拠の一部が開示された。このことにより、狭山の闘いは大きく前進した。事件発生から58年が過ぎた今も、検察によって一部の証拠は隠され続けている。このことを多くの人に知って頂きたいと思う。「赤木ファイル」について国は一部マスキング(黒塗り)をして開示するそうだが、許されないことだ。赤木さんの妻は「開示は世論の力で勝ち取れた」と感じたそうだ。マスコミ報道が世論の関心を高めたのではないかと思う。マスコミの力は良くも悪くも大きい。

   

 コロナ禍の中で政府自民党、また東京や、大阪の知事は、感染拡大を押さえるために、「人流を止める」、「飲食店等の時間短縮」等、私権制限ばかり押し付けている。それをいうなら、今もなぜ、聖火リレーが走っているのか。札幌でなぜ五輪マラソンのテストイベントが強行されているのか。最近まで、緊急事態宣言を出しながら、「旅行しましょう」「外食しましょう」という真逆の方向を出してきた国。自分の命を守る、人の命を守ることは一番大事という根本が揺らいでいる方針には、反発しかない。
暗い出来事ばかりの中であるが、私たちにも狭山市から新型コロナウイルスワクチン接種の案内が届いた。年齢区分で80歳以上の人は5月10日から予約開始、17日から順次接種が開始されるそうだ。待ちに待ったと言いたいが、そう簡単にはホッとできない。ワクチンの承認は異例ずくめで、早期承認、臨床試験もごくわずかで、接種後に亡くなられた方もいる。ワクチンに関する情報が少ない。それでも、それでも、一日でも早くワクチンを接種したい。狭山の闘いをこれまでのように続けたい。

 4月下旬から5月上旬にかけて、各地からメール、お手紙、署名を送って頂いた。
4月25日狭山で映画「SAYAMAみえない手錠をはずすまで」を上映してくださったYさんから署名30筆、滋賀・草津市のSさんから14筆を送って頂いた。
新潟の片桐元さんからは『元さんの新潟日報裁判闘争』が上梓されたとのことで送ってくださった。お手紙には「~狭山事件の裁判を気にかけながら、ようやく出版にこぎつけました。~ これからも無実実現のために新潟の地から応援しています~(一部抜粋)」と書かれていた。石川は今、メガネやルーペを併用しながら書いたり読んだりしている状況で、読み始めてもなかなか前に進まない。しかし、事件発生当時の事、新聞報道、その中での新聞社内での闘い、石川の生い立ちや、狭山の闘いが、沖縄、日の丸・君が代強制、反原発の闘いにつながる闘いとして、胸に迫る。
 神奈川のシスターミサイさんからお手紙とニュースが届いた。ニュースは、ローマで発行され、15か国に英語とフランス語で送られているそうで、そこに狭山の記事が載っていた。「お読みになった方々は石川さんの無実の実現を一日も早くとお祈り下さいます(一部抜粋)」とあった。うれしいお便りだった。

 なかなか動くことが難しい石川に、各地から多くの物を送ってくださる。高知の小夏、熊本・肥後のスイカ、熊本八代のトマト、滋賀からサクランボ。皆さんの「石川さん元気でいて下さい」との温かい心と思いが一杯届く。

 最近石川は「スイングビート」を通販で買った。
毎日家の中でできる運動を続けているが、さらに鍛えたいのだと言う。( `ー´)ノ

       

 

5月の歌   顧視(振り返ってみる)  魯鈍(おろかなこと)