5・23メッセージ

 

新型コロナウィルスの出現に因って、私自身糖尿病であることから、本来全国各地に支援要請のお願いの活動をしなければならないのに、足止めされ、残念無念の思いを抱きつつ15か月が経過してしまいました。

当然、新型コロナウィルスの終息時に備え、万全の構えでおりますが、現在においてもなお感染拡大傾向にあり、溜息の出る日々であります。

しかしながら、支援者皆様の、狭山の闘いを止めないとの強い熱意の下で、各地での闘いは継続されており、心強く、且つ感謝と相済まない気持ちで一杯です。

特に大きな山場であるこの時期は裁判所への要請行動が効果的であると思われますが、私自身が率先して高裁前に立つこともできず、残念な気持ちを禁じえません。

ずっと開かれてきた523狭山中央集会も、昨年に引き続き、コロナ禍で、中止を余儀なくされました。残念ではありますが、「いのち」を守ることを最優先に考えれば、仕方のないことでありました。

ただ常に疑心暗鬼を払拭出来ないのは、私の無実を示す証拠がたくさん存在する中で、再審の門を開こうとしなかったこれまでの裁判官の姿勢であります。

言及するまでもなく、近年、無期刑の受刑生活を強いられた6人の人たちが再審無罪になりました。この人たちは、最高裁で有罪と認定され、10年、20年、30年と無念の受刑生活を余儀なくされましたが、無実の人を有罪に追い遣った裁判官はなんら、反省もせず、謝罪もしないことに満腔の憤りを覚えます。

冤罪者は、一人の人間の一生だけでなく、家族も巻き込み、差別、偏見、悲しみ、怒りなど、塗炭(とたん)(くる)しみの中で生きざるを得ない状況に追い込まれます。狭山事件のように、被差別部落の者が冤罪に巻き込まれたときは個人の問題でなく、被差別部落全体が犯罪者集団の様な扱われかたもされてきました。

公平で公正であるべき裁判官が検察側に軸足を置き、忖度(そんたく)し、結果として、誤った裁判で有罪にしたのですから、司法の府としての黒い法衣を纏う資格などないと、断罪せねばならないと思うのです。

私の裁判でも第2次再審までは、最高裁が関わったが、事実調べもせず、確定判決を追認踏襲したに他ならないことは、皆さんも知っての通りです。

今の裁判官には、過去の過ちの反省の上に立って、鑑定人尋問をおこなうなどして、弁護団より提出された新証拠を徹頭徹尾調べつくし、再審の門を開いて頂きたく願わずにはおれません。

この狭山第3次再審こそ、私は乾坤(けんこん)一擲(いってき)で臨む所存でありますので、何卒皆様も感染防止に十分に気を付けられた上で、本審で冤罪が晴れますよう最大限のお力添えを賜りたく、衷心よりお願い申し上げます。

523石川一雄不当逮捕58カ年糾弾集会へのご挨拶に変えて失礼いたします。

 

今の司法金城(きんじょう)鉄壁(てっぺき)(あなど)らず 証拠(しょうこ)(たずさ)(きん)(こん)一番で(のぞ)

 

2021年5月

 

                       石川 一雄

狭山支援者各位様

 

 

※金城鉄壁  防備が極めて堅固であること

※緊褌一番  気持ちを引き締めて事に当たる