2023年12月9日、埼玉県の熊谷商工会館で、「狭山事件60年小泉隆司法務大臣の地元で冤罪と死刑制度を考える集い」が開かれた。
主催は「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」と7団体の共催。
法務大臣の地元で、冤罪をなくすための方策や、死刑制度をなくす集会を開き、参加者総意での要請文を送ろうと、多くの団体が共催したこのような集会は私達にとって初めてのように思う。

一雄は一審「死刑判決」を受け、1964年から1977年まで、東京拘置所に収監されていた。死刑囚として10年、その間「多くの死刑囚を見送った」と言う。その中には「無実」を訴える人もいたそうだ。冤罪の人が死刑執行されることもある。国家が殺人を犯す。このような制度は即刻無くすべきだ。私は無実でありながら32年獄中に閉じ込められていた。今も雪冤を果たしていない。今の刑事再審法では、えん罪者は救われない。再審法の改正を強く求める」と訴えた。
集会の報告を、12月10日の毎日新聞埼玉新聞、読売新聞が報じている。
また「狭山事件の再審を実現しよう」フェイスブックでも報告が載っている。
 袴田巌さんは今静岡地裁で裁判が始まっている。これまで再審開始決定が出ても何度も検察の上訴(異議申し立て)によって、裁判のやり直しを出来なくされた。
再審開始決定は即無罪判決ではない。法廷の場で真実を明らかにしようということなのだ。検察も自分が正しいと思えば、堂々と法廷で争えばいいのだ。

私に関係のない事として、見過ごすのでなく、理不尽なこと、不正義なこと、不平等なことを許さないでほしい。
声をあげてほしいと心から願っている。
えん罪は大きな人権侵害なのだ。
「再審法」の改正を、皆さんの地元の国会議員に働きかけてほしい、と強く思った。

 2023年12月10日 第39回埼玉県人権保育実践交流会

 埼玉県・吉見町の「フレザよしみ」での実践交流会の「狭山分科会」。
 前日メールが届いた。「~明日は保育士さんたちの実践交流会に行かれるとのこと、私の後輩たちです。昔、保育所で狭山の取り組みを共に闘った仲間たちが、今も狭山を応援してくれています。『同和』保育の原点は狭山です」と書かれていた。元保育士だった彼女は、今住民の会で狭山を闘い、支え続けて下さっている。

 この日は世界人権宣言70周年。
「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることの出来ない権利」がうたわれている。

義務教育からも弾き飛ばされ、文字をほとんど知らず、子どもの頃から住み込みで働きに行き、社会的な知識にも乏しかった一雄が冤罪に巻き込まれた。
自分自身を守れなかった無念や悔しさがある。だからこそ教育の重要さを身に染みて感じている一雄は「獄中で一生懸命勉強をした。努力、努力、努力に勝るものはない」と話し「大野裁判長は12月12日に退官する。司法は権力側に軸足をおいてはいけないと分かっているはず。まだ2日ある。また、新しい裁判長になっても、私は焦らない。納得のいく判断をしてもらいたい」と話した。


一雄の揺るがない闘いへの決意
明日(12月12日)退官する大野裁判長
どのような気持ちで退官するのか
聞いてみたい